どんなに仲のいいカップルの間にも、付き合いの中で意思疎通の行き違いや 、価値観の違いなどによる不和は発生します。
そんな時、いつも穏やかに話し合って解決できるかというとそんなことはなく、相手への愛情が大きいがゆえに、理解して欲しいという気持ちも膨らんでしまい、どんなに相手を大切に思っていたとしても、喧嘩を避けられないこともあるのです。
衝突が起きてしまった時、二人の関係を前に進めることができるか、はたまた愛情を目減りさせることになってしまうのかは喧嘩の仕方と仲直りの方法にかかっています。
どのように対応し、何を心得ていれば、喧嘩をプラスへと導くステップに昇華させられるのでしょうか。
喧嘩は必要! 喧嘩を通して互いを理解しあえる
実際に喧嘩をするカップルの中にも、長続きするカップルと、絶えない喧嘩に疲弊して別れてしまうカップルとがあります。一体、どういう違いから、長く続くか別れてしまうかの差が生まれるのでしょうか。
長続きしないカップルの喧嘩は具体的に、思いやりの欠如、互いへの束縛、嘘、浮気、怠惰など、自己中心的な理由から起こっていることが多く、このように相手のことをまったく考えない喧嘩にはそもそも着地点がなく、実りのあるものにはなりません。
しかし、一方で二人の関係性をより良いものにするために必要な喧嘩もあるのです。
それらは互いの価値観の違いをすり合わせるために行うものと考えるといいでしょう。
つまり、「なんか違う…」という違和感を放置せずに、きちんと噛み砕いて相手に投げることで、お互いの感覚のちょっとした違いが深い崖のように越えられなくなってしまう前に認識のクロージングをするということです。
男脳、女脳でこんなにも違う! されると嫌な5つのこと
価値観の違いによる喧嘩とひと言で言ってみても、その理由は実に様々です。
ここではまず男女別にどんなことで違和感を感じるのか、不機嫌になってしまうのかを見てみましょう。
男性の場合
- プライドを傷つけられる
- 自分のテリトリーに勝手に侵入される
- 理不尽な態度をとられる
- 回りくどい言動
- 無駄の多い計画
女性の場合
- 不安にさせられる
- 放置される
- 約束を破られる
- 共感を得られない
- ないがしろにされている(注意を向けてもらえていない)と感じる
ご覧の通り、男女でここまで不快に思う事象に違いがあります。
もちろん全てがいつもこの通りというわけではなく、時には男女が逆の理由で怒っている場合もあるでしょう。
しかし、大きく言って、男性は合理性のないものに対して嫌悪を抱き、女性は感情を無視されることに耐えられない傾向が高いです。
男と女で感じ方が違うのは脳の仕組みのせい
このように男性と女性で嫌なことが大きく違うのは、脳の仕組みによるもので、女性の方が脳梁という右脳と左脳をつなぐ神経繊維質の束の太さが太いことに起因します。
一般的に右脳はイメージの記憶、直感、ひらめき、感覚的な情報処理を受け持ち、左脳は読み書き、計算、数理的推理などを司り、論理的思考を受け持ちます。それらの思考の橋渡しをしているのが脳梁です。
この脳梁の太さゆえに、女性の方が物事を感情と直結させますが、脳梁が女性ほどには強くない男性は物事と感情とを分けて処理する傾向にあるため、両者の価値観に違いが出るのです。
また、女性には月周期の生理を中心としたホルモンバランスの変化による精神状態のアップダウンもあります。人によると、このアップダウンが大変に激しく、いつも穏やかな女性が月のある一定の時期になると普段からは考えられないほど凶暴になってしまうというのも珍しい話ではありません。
一番に必要なのは怒りの原因を整理すること
一度起こってしまった喧嘩を、二人の関係にとって有益だったと感じられるものにするためには、自分が、何に、どうして怒っているのかを、きちんと把握することが不可欠です。まずは、自分の怒りの原因を自分で整理してみることです。違和感を解きほぐし、不機嫌の原因を筋道立てて探ってみましょう。
そうすることで、相手にもわかりやすく自分の怒りを説明することができるでしょう。裏を返すと、自分で理解できていない怒りは相手にも上手く説明することができないのです。だからこそ、仲直りにも、喧嘩を上質なコミュニケーションに昇華させるのにも、自身の怒りの理由を知ることは欠かすことができないステップです。
喧嘩の落とし穴!男女別見落としやすいポイント
感情をきちんと整理し、相手に自分の意見を冷静に伝えることができれば、多くの喧嘩はきちんと着地し、こじれることはそれほど多くないはずです。
しかし、この感情の整理の経過には主観によって大変見落としやすいポイントがあり、ともすると死角になっているために完全にすっ飛ばしてしまうようなこともあります。そのせいで相手をひどく傷つけてしまったり、逆鱗に触れてしまったり、火に油を注ぐようなことになる場合があります。
人によって気がつきにくい、見落としやすいこれらのポイントについて、あらかじめ知っておくことで、地雷を踏んでしまうことがないよう予防しましょう。
落とし穴になりやすい、火種ポイントをこちらも男女別にご紹介します。
男性は感情の見落としがないかを確認しよう
男性は、感情の経過も合理的に捉えていることが多いため、自分の怒りの原因も比較的きちんと把握していることが多いです。しかし、合理的であるがゆえに、そこに感情という要素を見落としていることがあります。感情という不条理な不確定要素を度外視して話を進めようとすることで、喧嘩をよりヒートアップさせてしまうのです。
喧嘩をどちらが正しいか、どちらが間違っているかの二極で決着をつけてしまおうとしていないか、今一度振り返ってみましょう。
もし、それらに思い当たる節があれば、パートナーはそれまでの過程で傷ついたり悲しみを覚えたりしている可能性があります。感情面のケアを怠っていないか、喧嘩の間も気をつけていることが必要です。
女性は怒りが理不尽なものではないかを確認しよう
女性は、自分が抱いている怒りの理由が、本当に相手の言動に起因するものなのかを再度確認しましょう。もしかすると、そのイライラになんの理由もなかったという場合もあるのです。その場合、理不尽に怒りをぶつけられた相手からしてみると、あなたの怒りはとんだとばっちり、当たり散らしです。
女性にはホルモンバランスで、テリトリー意識が強くなっている時期や、月経前症候群(PMS、PMDD)といった自分でコントロールしにくい感情の起伏があり、それらを考えなしに身近な人間にぶつける行為は大変危険です。理由なく怒りをぶつけられた相手は傷つき疲れてしまうでしょう。ともすると、相手を失ってしまう原因にさえなり得ます。
いつもは平気なのに、無性に腹が立ってしょうがない、そういう時には、原因が本当に相手にあるのか、それとも自分の体調にあるのかをしっかりと見定めましょう。
感情の見落としで喧嘩がこじれたときには
それでは感情面のケアを怠ってしまったことが原因で、喧嘩が長引いたり、着地点を見失ったりしてしまった時にはどうすればいいのでしょうか。
おそらく相手は傷ついてしまい、たとえ悪いのが自分だということが頭では分かっていたとしても、素直になれなくなってしまっているでしょう。素直になれない状態の人間は謝ったり折れたりすることができず、大変厄介です。しかし、それはあなたに相手への理解を示す態度がほんのひとさじ足りなかったせいです。
良い喧嘩において一方的に相手を責める発言はご法度。 相手が聞く耳を持てないほど傷ついてしまったり激怒してしまったりしている状態なら、まずは感情を無視して話を進めたことについて謝りましょう。関係性を前に進めるための喧嘩はそれからです。
喧嘩の原因が体調不良だったときには
自分の体調不良が原因で相手を傷つけてしまったり怒らせてしまったりした場合の多くは自覚することもなかなか難しいものです。自分でもコントロールできない感情の波が、生理的な現象なのか、自分の本来の感性なのかは見分けがつきにくいものだからです。
だからこそ、自分の感情の変化、体調の波については、普段から細かく把握しておくように努めることが大切です。 感情にアップダウンがあった日を記録し、生理日と照らし合わせ、月単位で不調の波に一定の傾向がないかを調べましょう。PMSの一種であるPMDD(月経前不快気分障害)には鬱症状があらわれることもあり、気がつかないでいるとパートナーもろとも振り回されてしまうことになります。
症状があることに気がついたら、病院にかかり、根治を目指す努力をした上で、理不尽に傷つけてしまったことについて相手への謝罪を忘れずに、 その上で病気の症状をきちんと説明し、理解を求めるようにしましょう。
男と女では怒りの表現方法も違う
一旦喧嘩になってしまうと、驚くほど相手の気持ちがわからなくなってしまうのは男性と女性では感情の表現の仕方が違うからです。
女性はこまめに嫌なことを嫌と言わないかわりに、少しずつ溜まっていった不満をまるで爆発させるようにぶちまける傾向があります。
男性からしてみると、昔のことにまで紐づけられて、芋づる式になった怒りを一気にぶつけられることに面食らってしまうのです。一見関連性のないような怒りの連鎖に、まずヒステリックさを感じ、ヒステリーへの恐怖の方が怒りの内容に先行してしまいます。
一方男性は、ある程度自分の中で感情が整理できるまで、外に出したくないと閉じてしまう人が多く、無言になるなど、態度に滲み出るような表現方法を選ぶ人が多いです。
「察してちゃん」は甘やかしてはいけない
男性に限らず女性の中にも説明をしようとしない、「察しろ」というスタンスをとる人が時々いますが、問題なのはそういう傾向を持つ人たちが 話し合いを避けようとすることです。
その理由は、その怒りの根底に「嫉妬」や「寂しさ」といった自身の弱みになる感情がある場合に、それらを見せることを避けたいという思いが働いてしまうことにあります 。
そんなパートナーを持った場合にはある程度そのことを理解し、汲んであげることも必要です。人間は急にオープンになれと言われても一朝一夕で変われるものではないからです。相手の性格を理解した上で、付き合うことは相手を尊重することです。
ただ、その優しさに甘えて、永久に「察してちゃん」から抜け出せないパートナーは問題です。いつかは、そうした弱さを超えた関係性を育んでいけるように、いつでも思いを汲んで甘やかすだけでなく、相手を少しずつリードして、一歩ずつ歩み寄ることが大切です。
男性が極端に恐れる感情的な女性の涙
喧嘩の局面で、男性が恐れるもののひとつに女性の感情的な涙があります。
話しているうちに、次第にエモーショナルになった女性が、涙を止められなくなってしまい、泣かれてしまったことに男性が罪悪感を感じ、その罪悪感が最終的に、罪悪感を感じさせられることへの怒りへと転化し、喧嘩が一番避けたい終焉の仕方をしてしまう。
この流れは実はよくあるパターンですが、これには繰り返すうちに、喧嘩をしても意味がないという認識が二人の間に育ってしまうという恐ろしい可能性があります。喧嘩が解決しないまま疲労感だけを残して終わってしまわないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。
涙には必要以上に反応しなくていい
女性が感情的になって泣き始めてしまったとき、男性は女性が泣いたことに必要以上に反応しないようにしなければなりません。と言っても涙を無視するのではなく、ティッシュやハンカチなど涙を拭くものを渡したり、余裕があれば暖かい飲み物などを入れたり、感情を一旦落ち着かせるように促しましょう。
泣いたこと自体に意味があるわけではなく、また涙は止めようとしても止まらないものなので、涙にびっくりしたり、オロオロしたりする必要はありません。
女性も自分が泣いたことに対して、相手に面倒だと思われることを恐れています。すぐに泣き止む必要はない、と安心させてあげることで、たとえ喧嘩の最中だったとしても、あなたの態度に女性は強い信頼を覚えるでしょう。
涙には感情のデトックス効果もあります。ひとしきり涙を流した後には、膨らんだ感情の風船のガス抜きができ、ヒートアップしていた喧嘩も穏やかな話し合いに移行できるかもしれません。
涙よりもっと恐いのは男性の沈黙
女性の涙を嫌がる男性の話はよく聞きますが、実は喧嘩において、男性が心を閉ざし、これ以上踏み込まれたくないと、防御の姿勢をとってしまった場合の方が、ことは複雑です。
冷戦になってしまうと、解決の糸口を掴めるまでが長引いてしまい、長期戦へともつれ込んで、なかなか事態を解決させることができなくなってしまう場合があるからです。
男性が黙り込んでしまうのには、自分の弱みを明るみに出したくないという自衛が働いている場合もありますし、またヒステリックで感情的な諍いにうんざりしているという場合もあります。女性は自分のペースに男性を巻き込んでしまっていなかったか振り返り、なるべくは少しの間だけでもそっとしておくのが賢明でしょう。
男が黙り込んでしまった時こそ合理性をふり返る
男性が女性から見ると逃げているように見える対応に出るのには、これまでの喧嘩で一方的に女性からなんの考えもなく一方的に感情をぶつけられたように感じた経験が理由になっている場合もあります。これまでに怒鳴り合うような喧嘩を度々していた場合などは特にその可能性が高いです。
その場合には、女性は自分の感情的な意思表示の仕方を改めるようにしてください。落ち着いた態度、聞く耳を持っていること、自分が悪い場合には謝れること、それらをきちんと示し、合理的で建設的な話し合いができるということを相手にわかってもらうことが必要なのです。
喧嘩の要点をまとめたり、「この点についてだけ冷静に話をしよう」など建設的な提案をしたり、感情をぶつけることを目的とした喧嘩ではなく、話し合いを目的としていることが伝わるようにしなければなりません。
いい喧嘩をすると喧嘩をする前よりも仲良くなれる
喧嘩は避けるばかりが能ではありません。喧嘩の質によっては、二人の関係性を前進させ、より絆を深めさせるターニングポイントにもなり得ることは、お分りいただけたのではないでしょうか。
喧嘩は争点となる問題、相手と自分の考え方や価値観の違いなどを知ることができるという喧嘩の内容と同時に、実はどのように仲直りするかもとても大切です。一度起こってしまった喧嘩をどのように終着させるかは、実は恋愛に置いての自分の力量の見せ所。ピンチに見せかけたチャンスと言っても過言ではありません。
今回の喧嘩は十分に話し合いが熟し、もうこれ以上は意識のすり合わせを煮詰める必要もないな、と感じたら、後腐れのないように、禍根を残さないように、上手に仲直りをしましょう。スムースで上手い仲直りの仕方は難しいように見えて、ある理論さえ押さえていれば思ったよりもシンプルなのです。
相手よりも大人になるように心がける
喧嘩がヒートアップしている時はなかなか難しいとしても、お互いの意見をぶつけ合って、何が原因かが一旦見えてくると、2人のテンションが一段落する瞬間が訪れます。ヒートアップしていた喧嘩がダウナーな状態に入ったら、そこからは相手よりほんの少しでも大人になるように努めましょう。
例えばまだ友好的な言葉をかけられる精神状態ではなかったとしても、飲み物を2人分用意する、買い物に行ったら相手の好きなものを買ってさりげなく冷蔵庫にいれておく、など、まずは無言でもできる気遣いを心がけてみましょう。
つっぱねられたり、無視されたりする場合もありますが、それは気にしないでOK。相手より先に自分の頭が冷えているという状態が大切です。
先に折れた方が勝ちだと心得よう
必ずしも喧嘩の肝の部分について、謝る必要はありませんが、先に折れることはとても大切です。もしも喧嘩の原因となった部分について、自分に非がないと思う場合には、自分の口調や、 鋭すぎた指摘などについて、「嫌な言い方になってごめんね」「傷つけたいわけじゃなかった、傷つけてしまったら本当にごめんね」と態度や言葉について、振り返ってみて謝るのもいいでしょう。
必要なのは意固地な態度や、子供っぽい拗ね方、不機嫌な態度を相手より先に放棄して、さっと意識を転換してみせることです。ただこれだけではお互いがまだ喧嘩の本当の原因に納得していないなら、解決したことにはなりませんので、仲直りは次のステップです。まずは相手より先に落ち着きを取り戻し、仲直りのための準備をしましょう。
仲直りに必要なのはたったひと言の思いやりの言葉
実は最終的に喧嘩を上手く着地させるのには、相手の立場に立ったひと言さえあれば足りてしまうことがほとんどです。それは魔法の言葉でもなんでもなく、ただ相手が何に怒っているのかを理解し、たとえ賛成できなかったとしても、同意見ではなかったとしても、相手の心情に共感をしめす言葉です。
「こう感じていたことがわかった、辛い思いをしていたことに気がついた」
「こんな状況に置かれたら、そう感じるのも無理はないよね」
「悲しい気持ちにさせてたんだね」
相手の心に掛かっていた負担へのねぎらいを伝えるということです。人は状況の改善を求めて訴えている場合でも、本心で一番に求めるのは自分の現状への共感です。
どんなに辛いか、どんなに悲しいか、どんなに悔しい思いをしていたか、それらについて理解を示してもらうだけで、行き場のない感情は報われます。たとえ状況の劇的な改善が難しい場合でも、ストレスは大幅に軽減します。
まとめ
喧嘩は、喧嘩自体のやり方と、その仲直りの仕方では二人の関係性を劇的に前進させる可能性を持っています。どんなに相手に腹が立って、激しい言葉の応酬や、反対に口もききたくないというような冷え切った空気が二人の間に発生してしまったとしても、感情だけに流され図に、「喧嘩は特効薬」ということを思い出してみてください。
ただし、理不尽でアンフェアな一方的な落ち度が一方にあった場合には、穏便な仲直りよりも、まず関係がフェアな状態に正されることの方が重要だということも忘れてはいけません。喧嘩は公平でバランスの取れた関係を長く続けるために行うもの。
どちらかが我慢していたり、どちらかが甘えてしまっていたりと、天秤が大きく傾きすぎないように、時にはいい喧嘩をしながら、素敵な関係を続けましょう。