パートナーとの別れはどんな時でもつらく、できるなら避けたいものです。しかし、残念ながら世のカップルのうち、結婚したり、パートナーシップを結んだりして、生涯添いとげることになるのは、ほんのひと握り。
人生のパートナーは、出会い、別れを繰り返し経験する中で見つける人がほとんどなのです。
別れを避けて通ることができないのなら、その別れをどれだけ美しく、自分にとって納得のいくものにするかというのはとても大切な課題です。
混乱し、もつれてしまった後味の悪い別れはその後も未練となって人を縛りつけてしまうもの。
その後の新しい恋愛にどれだけ清々しい気持ちで臨むことができるかに大きく影響するのです。
自分のもとを去っていく恋人、離れなければならなくなったパートナーに、どのような態度をとれば、別れを美しいものにできるのか、最高の印象を残せるのか、 その方法を学びましょう。
消えかけた恋に火をつけるのはあっさりした別れ際
恋人たちの別れにはざっくりといって以下の4つが挙げられます。
- お互いの希望
- 一方からの希望
- 自然消滅
- 死別
この中で最も多いのが、ふたつ目、関係がフェアなバランスの上に成り立たなくなったことを原因とした「一方からの希望」による別れです。
相手への気持ちがなくなり、付き合っていることが苦痛になった方からの希望、もしくは、相手に自分への気持ちがなくなったことを感じとり、付き合っていることが苦痛になった方からの希望などです。
この場合、別れるかどうかを決めるための話し合いは、場の空気も重く、気詰まりで、逃げ出したいような雰囲気になりがちです。別れを経験したことのある人なら覚えがあるかもしれません。
その理由は、一方は別れたい、もう一方は別れを避けたい、または一方は本当は別れたくないけれど別れを切り出した、もう一方は本当は別れたいけど、先に相手に別れを切り出された、というように、ふたりの目的がバラバラな状態であること。
本音を出さずに互いを牽制し合いながら、自分の目的を達成しようとするため、ぬるっとしたつかみどころのない内容になってしまうことが多いのです。
忘れてはいけないのは、すでに別れを切り出されたり、相手の気持ちが自分にないことがわかっていたりする場合には、話し合いでそれをひっくり返すことはもう不可能だということ。
関係がそこまできてしまった場合にはまず相手を失うことを受け入れなければなりません。
後ほど改めて説明しますが、そうすることには多くのメリットがあり、復縁や関係の修復を望む場合、もっともその可能性があるとすれば、それはまずきちんと恋人との別れを受け入れた後にしかないのです。
別れの時、相手に伝えるべきはたった3つ
相手の気持ちが自分にない、相手から別れを切り出された、そんな時に相手に伝えなければいけないのはたったの3つだけです。
- 「あなたのことが大好きだった」過去形の愛情
- 「この関係から沢山のことを学べた」感謝
- 「とてもさみしいけどこの先より良い人間になるために自分も前を向いてがんばる」決意
どんなに別れに納得がいかなくても、この過去形の愛、感謝、決意だけを端的に伝え、潔く身を引きましょう。間違っても追いすがったり、聞き入れないという態度をとったりするのは得策ではありません。
特に、相手が別れに手こずることを予想していたとすると 、追いすがられた相手の心はさらに遠いところへと離れてしまうでしょう。
一方、もしあなたが潔く上記3 点だけを伝えて身を引いた場合には、パートナーはおそらく大変驚くことになります。肩透かしを食ったような気にさえなるかもしれません。
そして、自分の方ばかりを一心に見ていた恋人が、覚悟を決め、もう自分の方を見ていないということに、気持ちを揺さぶられてしまうのです。
先に未練を捨てた方がイニシアチブをとる
恋愛の多くはふたりのうちのどちらが確固たる主導権を握っています。恋愛中は連絡を取る頻度が高い方だったり、好きの度合いが高かったりする方がイニシアチブをとられているのが一般的でしょう。そしてイニシアチブは一旦恋愛が安定期を超えると、そうやすやすと移るものではありません。
ところが、いざふたりが別れを迎えるその瞬間にだけ、その主導権が移る可能性が高まるのです。
それはズバリ、どちらが先にその関係性を諦めるかにかかっています。
例えばこんなケース。
「付き合っている彼氏と彼女がいて、彼氏は彼女に飽きたり、ほかに気になる人ができたりなど、ふたりの恋愛関係に集中力を持てなくなっている。
彼女は彼のことがとても好きで、あの手この手を考えては、全力でふたりの関係のため愛情を使ってきたが、彼のその変化に関係の限界を感じている。
彼女は別れを決意し、彼にこう切り出す。
「あなたのことが大好きだった。付き合っている間にたくさんのことを学ぶことができた。本当にありがとう。今あなたが、私に縛られているように感じていることを知っている。悲しいけれどふたりのために別れましょう。私たちの関係があなたには重荷になってしまったから。 私はそのことを受け入れて、前を向いて頑張ることにする」
そして彼女は彼のもとを去る。」
さて、彼はどう感じるでしょうか。自由になれた!と喜ぶでしょうか。
いいえ。ずっと自分ことが好きで、ともするとその好意の大きさゆえに軽んじてさえいた彼女がもう自分の方を向いていないということを理解することができず、混乱するでしょう。
もしかすると、それゆえに怒ったり、あてつけにせいせいしたという態度を取って彼女を傷つけようとすることもあるかもしれません。
そうした時に、彼女がポーズで別れを演じているのではなく、本当に相手を失うことを受け入れている場合、イニシアチブは彼女に移ります。
そして、恋愛は最後にイニシアチブを握っていた方だけがその恋愛を「良い恋愛」フォルダに保存することができるのです。
どんなに一方的に、相手に尽くし、軽んじられた恋愛だったとしても、その恋愛を終わらせることを先に受け入れることさえできれば、相手の記憶に強い印象を残し、主導権を握った状態で、自分の大切な経験として、その恋愛を美しい状態で人生の1ページに残すことができるのです。
まとめ
さて、もしかするとあなたの望みは「復縁」だけにあるかもしれません。
その場合はきっと、この方法を試してみたいと思うでしょう。恋愛関係がすでに破綻している場合、この方法だけが壊れてしまったふたりの関係を再起させる可能性を持つ劇薬になり得るからです。
しかし、それでも最初から復縁を願って、別れを切り出すのではいけません。その効果は、きっぱりとフォーカスをその恋愛から別の方向へと移し、相手にこれまでの感謝を伝えた上で、新しい道へと歩み出そうとする背中にしか生まれません。
その決意と覚悟こそがあなたをひとまわり成長させるからです。
その決意と覚悟を持つことがき、相手に背中を向けた途端に、復縁を誘われるかもしれません。その瞬間 、その差し伸べられた手を受け入れるかは、ぜひじっくりと考えてみてから決めてください。
諦めるべき恋愛を、上手に終わらせることができた経験は、必ずその恋愛を上回る恋をもたらすものです。
今この瞬間、もしあなたが恋愛関係の再構築を望んでいたとしても、 ひとつの恋を終わらせて、相手に別れたことを後悔させることができたとしたら、きっとその恋愛にしがみつくよりも、新しい恋を探すべきでしょう。